家賃支援給付金の「給付の対象外の方」について ~宗教上の組織若しくは団体~

新型コロナウイルスの影響により、宗教団体・法人においても業務に影響を受けていることと思います。

今回は、以前記載した経済産業省の「持続化給付金」に続きまして、
「家賃支援給付金」について書きます。

 そもそも論として、宗教法人は、境内地・境内建物等を法人所有として永続化するための法人ですので、宗教活動に供する物件について賃貸借契約を締結していることは少ないだろうと存じます。しかし、長期的かつ安定的な賃貸借契約を排除しているわけではなく(数年前、文化庁担当者からこのような話を聞いています)、また、事業を行っている場合、その部分について賃貸借契約が存在することも考えられ、家賃を支払っている宗教法人もあると思いますので、今回の給付金についても触れたいと考えました。

 結論らしきことから申し上げると、この給付金も「持続化給付金」と同様、宗教法人、宗教団体の宗教活動は、給付を受けられないものと考えます。

この給付金は、

5月の緊急事態宣言の延長等により、売上の減少に直面する事業者の事業継続を下支えするため、地代・家賃(賃料)の負担を軽減する給付金を支給します。 」

との説明により、法人(条件あり)に最大600万円
個人事業者(条件あり)に最大300万円を一括支給する国の政策です。
7月14日(持続化給付金の例によると正午)から申請を受け付け予定です。

申請要領(中小法人等向け)原則(基本編)

申請要領(個人事業者等向け)原則(基本編)

(経済産業省HP家賃支援給付金に関するお知らせの頁より)

上記「申請要領(中小法人等向け)原則」の「2-2-2. 給付の対象外の方」で

また、以下のいずれかに当てはまる方は、給付の対象外となります。

(1) 国、法人税法別表第一に規定する公共法人
(2) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する「性風俗関連特殊営業」、当該営業に係る「接客業務受託営業」をおこなう事業者
(3) 政治団体
(4) 宗教上の組織もしくは団体
(5) (1)~(4)に掲げる者のほか、給付金の趣旨・目的に照らして適当でないと長官が判断する者

と、「宗教上の組織もしくは団体」という文言を使用して給付の対象外に指定しています。
持続化給付金と同様、宗教法人及び宗教団体などを指すものと思われます。

やはり憲法の規定を重視した形でした。

 なお、「別冊1-7. 例外⑦ NPO法人や公益法人等特例」という項目もありました。

申請要領(中小法人等向け)別冊

「公益法人等(法人税法別表第二にあてはまる法人・・・以下の書類を確定申告書の控えのかわりに添付することができます。」

との記載があり、申請が可能では、と期待しました。宗教法人は、もちろんこの別表に当てはまる公益法人等です。しかし、その数頁先にあった

「法人税法別表第二にあてはまる法人は、下表の通りです。」

その下表には、法人税法別表第二に掲載されているはずの「宗教法人」の名称が見当たりません。どうやら、法人税法別表第二をもとに、書き換えたようです。このような書き換えが許されるかどうかは、当職では判断できませんので、ご不満がある方は、弁護士さんにご相談下さい。

 宗教団体・法人は、給付の対象外となっていますので、その他の法人組織や個人事業を運営されている、又は法人税上の収益事業を営み、そこで給付条件に合う経営状態であるなどの宗教関係者は、そちらの収支状況を確認して申請ができるようであれば、申請していただきたいと存じます。ただし、給付となるか否かは不明です。

家賃支援給付金申請受付は、以下のサイトで受付しています。
     ↓

「家賃支援給付金」https://yachin-shien.go.jp/