条例等探訪ノート =東京都品川区編=

第4回は、大田区の北隣、品川区の条例及び条例施行規則、さらに要綱です。条例及び条例施行規則は、平成24年4月1日に施行され、要綱は、同年3月30日に区長が制定しています。これまで投稿した市区のホームページでは確認できませんでしたが、品川区では要綱が確認できましたので、同区を取り上げたいと思います。

 

 

品川区墓地等の構造設備および管理の基準等に関する条例
品川区墓地等の構造設備および管理の基準等に関する条例施行規則
品川区墓地等の構造設備および管理の基準等に関する条例等の運用基準を定める要綱 より

 

 

 

1 墓地、納骨堂共通の定め

 

【墓地等の経営主体】

1.~3.のいずれか

1.地方公共団体

2.宗教法人法第4条第2項の宗教法人で、同法第5条第1項の主たる事務所または同法第59条第1項の従たる事務所区内または区に隣接する特別区内に有し、かつ、継続した活動を行っているもの

(要綱の註釈)
墓地等の適切な管理や運営ができるよう、主たる事務所または従たる事務所を、区内または品川区に隣接する区内に有し、3年以上の継続的な活動の実績が有るものとする。宗教法人の審査に当たっては、宗教法人法所管部署に対して、宗教法人法上の手続き(法人規則の変更)、当該法人の活動状況、墓地等経営に関する意見について照会し、適格性を判断する。

3.公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第2条第1号の公益社団法人または同条第2号の公益財団法人(以下これらを「公益法人」という。)で、墓地等の経営を行うことを目的とするもの
(例外規定) 特別の理由がある場合であって、区長が、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるとき

(例外規定について要綱の例示)
特別な理由がある場合とは、従来から個人墓地として許可を受け、墓地を承継する場合、墓地等の経営許可を受けているものでこの条例制定により該当しなくなったものが、同一敷地で許可を受ける場合など

 

【許可条件等】

区長は、公衆衛生その他公共の福祉の見地から必要な条件を付けることができる。
  (要綱の例示)
  土葬を禁止する(焼骨のみ埋蔵する)附款を付すこと等

 

2 墓地に関する定め

 

【墓地の設置場所の基準】

1.当該墓地を経営しようとする者が所有する土地であり、第三者により抵当権、借地権等の権利が設定されていないこと。
(除外規定) 地方公共団体が経営しようとする場合
(例外規定) 墓地の永続的な経営に支障がないと区長が認める場合

2.高燥な土地であり、飲料水を汚染するおそれのないこと。

3.土葬を許可する場合にあっては、区長が、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認める土地であること。

(参考・土葬に関する規定)
墓地においては、焼骨を埋蔵することとし、土葬は行ってはならない。
(土葬の例外規定)区長が、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めて許可した場合
(例外規定について要綱の註釈)
・土葬を認める土地は、公共水域の汚染を防止するため、河川等 と墓地までの距離はおおむね20m以上離れた土地であること。
・心理的影響を考慮し住宅、学校、店舗等から墓地までの距離はおおむね100m以上離れた土地であること。
(例外規定) 災害等で火葬場が使用できない等特別な理由がある場合

 

【墓地の構造設備基準】

1.墓地の区域と隣接する土地との境界には、障壁または密植した低木の垣根を設けること。

(要綱の註釈)
境界に障壁または密植した垣根を設けることにより、みだりに出入りすることを防ぐとともに、墓地の静寂な環境を保持しようとするものである。障壁および垣根の高さ等の構造については、周辺環境と調和したものとすることが必要である。品川区みどりの条例の定めによる接道部緑化で隣接する土地との境界に障壁等が設けられない場合は、接道部の緑地との境界に障壁等を設けることとする。

2.アスファルト、コンクリート、石等の堅固な材料で築造され、その幅員が1メートル以上である通路を設けること。
  (要綱の註釈)
  通路の幅員については、有効幅員をいう。

3.雨水または汚水が滞留しないように適当な排水路を設け、下水道または河川等に適切に排水すること。

4.墓地の利用者が使用することができるごみ集積設備、給水設備、便所、管理事務所および駐車場を設けること。
(例外規定) 当該墓地を経営しようとする者が、近隣の場所に墓地の利用者が使用することができるこれらの施設の全部または一部を所有する場合において、区長が、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるとき

(要綱の註釈)
ごみ集積設備は、廃棄される供花、供物等を衛生的に管理するため、カラス等による飛散や悪臭を防止するような設備を設け、専用の場所を確保し設置することとする。給水設備は、井戸水等で飲用に供しないものについて適当な表示をするなど利用者の誤飲を防止する措置を講じるとともに、利用者の利便を考慮した位置に適当数を配置することとする。便所は、利用者の利便を考慮した位置に適当数を配置することとする。管理事務所は、施設の維持管理とともに、墓地の使用者が納骨、改葬等の手続が支障なく行われるために、仮設的なものではなく、墓地管理に必要な墳墓配置図や墓地使用者名簿等を備え、十分な管理ができる事務所であることを必要とする。駐車場の台数は、交通機関の利便性および設置する場所により一律に取り扱うことは難しいことから、新規墓地の駐車場の設置状況等にかんがみて、墳墓の区画数の2%程度を設置するものとする。

5.墓地の区域内の通路等を活用し、実際に駐車スペースとして利用できる場合についても駐車場として取り扱うものとする。

6.墓地の区域内に規則で定める基準に従い緑地を設けること。
(例外規定) 区長が、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認める場合
(上記規則で定める基準)
墓地の敷地の総面積に占める緑地の割合が20パーセント以上

(要綱より例外規定の適用の例示)
境内地や既存墓地などに十分な緑地があり申請地との一体性が認められ周辺環境との調和が図られている場合等

 7.墓地の区域と隣接する土地との境界には、規則で定める基準に従い緩衝帯を設けること。
(例外規定) 区長が、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認める場合

(上記規則で定める基準)
緩衝帯の幅は1メートル以上
(要綱の註釈)
緩衝帯は、緑地(接道部分の緑地を含む。)のほか通路、管理事務所、ごみ集積設備、給水設備、便所、駐車場等の墳墓区画以外のものをいう。
(例外規定の適用)
墓地境内地等と接している部分

8.墓地の出入口は、規則で定める道路またはこれに接続する境内地に接していること。

(上記規則で定める道路)
・道路法第3条に掲げる道路(高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道)
・建築基準法第42条第1項第5号の規定により位置の指定を受けた道路(幅員4メートル以上の私道等いわゆる「位置指定道路」)
・建築基準法第42条第2項の規定により指定された道路(幅員4メートル未満の道等いわゆる「2項道路」)
・このほか、永続性を維持するのに支障がないと区長が認める道路

 

(要綱より墓地の構造設備基準の註釈)
・構造設備のうち、管理事務所、ごみ集積設備、給水設備、便所および駐車場については、主たる事務所などが隣接しており墓地の維持管理、利用者の利便に支障がない場合等は、例外規定を適用できるものとする。

・墓地以外に利用されているにもかかわらず地目が墓地であり、地目を変 更するため墓地の廃止許可を受けるために新たに許可を受ける場合は、便宜上の許可であるのでこの基準は適用しない。

・構造設備の計画に当たっては、建築基準法(昭和 25 年法律第 201 号)、都市計画法(昭和 43 年法律第 100 号)、品川区みどりの条例(平成6年条例第19 号)、品川区景観条例(平成 22 年条例第 31 号)も踏まえ指導する。

 

3 納骨堂に関する定め

 

【納骨堂の設置場所の基準】

 

1.当該納骨堂を経営しようとする者が所有する土地であり、第三者により抵当権、借地権等の権利が設定されていないこと。
(除外規定) 地方公共団体が経営しようとする場合
(例外規定) 納骨堂の永続的な経営に支障がないと区長が認める場合

2.寺院、教会等の礼拝の施設または火葬場の敷地内であること。
(除外規定) 地方公共団体または公益法人が経営しようとする場合

 

【納骨堂の構造設備基準等】

1.壁、柱、はりその他の主要な部分は、耐火構造とすること。

2.床面は、コンクリート、タイル、石等の堅固な材料で築造すること。

3.納骨堂の設備は、不燃材料を用いること。
(例外規定) 納骨堂内で火気を使用しない場合

4.必要な換気設備を設けること。
  (要綱より例外規定)
  線香等をたかない場合には 必ずしも換気設備を設けなくてもよい。

5.出入口および窓には、防火戸を設けること。

6.出入口および納骨装置は、施錠ができる構造であること。
(例外規定) 納骨装置の存する場所への立入りが納骨堂の管理者に限られている納骨堂の納骨装置

7.駐車場を設けること。

(要綱の註釈)
駐車場の台数は、交通機関の利便性および設置する場所により一律に取り扱うことは難しいことから、利用状況等により十分な駐車場を確保するように指導するものとする。
また、納骨堂が機械式設備の場合、設備の維持管理、保守、設備の更新 のための点検口や通路を確保し、適切に保守管理、設備の更新が行える施設とすること。

 

4 周辺地への対応の定め

 

この項は、条例及び条例施行規則の概略のみ掲載します。詳細を知りたい方は、表題の条例、同条例施行規則及び要綱を参照ください。

【標識の設置等】

・標識の様式
・標識の設置場所等
・標識の設置期間
・標識設置の届出
・墓地等の建設等の計画の届出

【説明会の開催等】

・説明等
・説明会の周知等の対象者

【住民との協議の指導】

・意見の申出
・指導に基づく協議の報告

【公表】

・公表
・弁明の機会の付与

 


 

※ 区長の要綱が定められ、Web上に掲載されており、細かな註釈・指示が行き届いている印象です。