条例等探訪ノート =静岡県熱海市・前編=

第13回は、前後編に渡って日本のモナコ、日本のコート・ダジュールなど南フランス地中海沿岸に比喩される風光明媚な温泉と観光の街、静岡県熱海市を取り上げます。前編は、従来どおり墓地に関する条例等で、これらは、平成20年12月1日に施行されました。

 

熱海市墓地等の経営の許可等に関する条例
熱海市墓地等の経営の許可等に関する条例施行規則 より

 

1 墓地、納骨堂共通の定め


【墓地等の経営主体】

(原則) 地方公共団体

(例外規定) 以下の1.~3.のうち、市長が市民の宗教的感情に適合し、かつ、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるとき

1.市内に主たる事務所を有する宗教法人

2.現に墓地等を経営している個人が、災害の発生、道路建設等公共事業の施行等により移転する必要が生じた場合

3.墓地等の経営を目的に設立された公益社団法人及び公益財団法人(熱海市が出資又は出捐しているものに限る)

【墓地等の設置場所の基準】

1.墓地等を経営しようとする者が所有し、かつ、抵当権の設定等がなされていない土地であること
(例外規定) 規則で定める事項(※1)
(除外規定) 地方公共団体が経営しようとする場合

(※1) 墓地の墳墓を設ける区域(納骨堂は当該建物の敷地)を除き、墓地等の設置場所の土地の所有者が、申請者のため、墓地等の用に供する目的の地上権を設定する土地であること

2.墓地等の境界線と人家、学校等との距離が規則で定める距離(※2)以上であること
(例外規定) 市長が、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるとき

(※2)
 焼骨を埋蔵する墓地及び納骨堂
境界線と次に掲げる施設等との最短距離が110m

ア 学校教育法第1条の学校
イ 医療法第1条の5第1項及び第2項に規定する病院及び診療所(患者を入院させるための施設を有するものに限る。)
ウ 児童福祉法第7条第1項に規定する児童福祉施設
エ 介護保険法第8条第27項に規定する介護老人保健施設
オ 老人福祉法第5条の3に規定する老人福祉施設

 埋葬(土葬)を行う墓地
境界線と人が現に居住し、又は使用している建物との最短距離が110m

3.飲用水を汚染するおそれのない土地であること

 

2 墓地に関する定め


【墓地の構造設備基準】

(構造設備基準全体にかかる例外規定) 市長が市民の宗教的感情に適合し、かつ、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるとき

1.給水設備及び排水設備を設けること

2.管理施設、便所、墳墓の区画数の4%以上の駐車区画数をもつ駐車場その他墓地を利用する者に便益を供するための施設を設けること
(例外規定) 市長が適当と認めるときは、これらの施設の一部を当該墓地に近接した場所に設けることができる

3.墓地内の通路は、次の①、②の有効幅員以上であること

 墳墓の区域内の通路 1m
 ①以外の主要な通路 1.2m

4.緑地面積の墓地の敷地面積に対する割合が、30%以上であること

5.植樹等により、隣接地等外部と明確に区分されること

 

3 納骨堂に関する定め


【納骨堂の構造設備基準等】

1.建築基準法第2条第7号に規定する耐火構造であること

2.換気設備を設けること

3.出入口及び納骨装置は、施錠ができる構造であること
(除外規定) 納骨装置の存する場所への立入りが納骨堂を管理する者に限られている納骨堂

 

4 周辺地への対応の定め


この項は、概略のみ掲載します。詳細を知りたい方は、表題の条例等を参照ください。

【経営計画の周知等】

・標識の設置
・近隣住民等へ説明会の開催
・市長へ報告

【近隣住民等との協議】

・意見の申出
・意見申出者との協議

【手続の省略】

市長が市民の宗教的感情に適合し、かつ、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるとき

【熱海市墓地等の経営の許可等に関する審議会】

審議会は、市長の諮問に応じて墓地等の経営の許可等に関する事項について調査審議し、答申するものとする

【勧告】

正当な理由なく手続をしていないと認めるとき

【公表】

・勧告を受けた者が勧告に従わないとき
・意見を述べる機会の付与

 


 

熱海市の墓地等許可に関する条例等について今回調査した感想は、許可に関する審議会の明文化など、大都市近郊の条例等の色合いが強くでていると感じました。

また、「熱海市墓地に関するアンケート調査」の報告書をHPに上げていて、
https://www.city.atami.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/001/516/2389_986.pdf
(熱海市HPにリンクします)

熱海市が、市民の意見を取り込み、市行政に生かそうとする姿勢を強く感じた次第です。